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情報のパーソナル化は、大衆のメディアリテラシーを変える

約 3 分
パソコンやスマホでの検索結果・広告表示などの情報が、その人の属性や興味・関心に合わせたものに変わることを「情報のパーソナル化」という。

一見、このパーソナライズは、利用者に個別に応え、個性的に行われているようにみえる。

しかし、本当にそうだろうか?

 

その情報は、利用者自らが選び取ったものではない。

あくまでも、赤の他人が作ったシステム・アルゴリズムによって与えられたものだ。

 

2009年12月にグーグルは、全利用者にパーソナル化検索を導入する方針を発表した。

日本でシェアの大きいヤフーも、グーグルの検索エンジンを使用している。

つまり、日本のネット利用者の9割は、グーグルの検索エンジンを使っていることになる。

google

 

パーソナル化検索が引き起こす問題とは何か?

 

それは二つある。

①見つけたい情報はすぐに手に入る。しかし、目的の情報とは違うが役に立つ情報・面白い情報が見つからなくなる。(新しい創造を育む「偶然との遭遇」が消滅)

②先入観に基づいて自分にとって都合のいい情報だけを拾い集め、ますますその先入観を強めてしまう。(主観・偏見の強化)

 

特に怖いのが、②の主観・偏見の強化だ。

mediaリテラシー

大勢の人が、「確証バイアス」という現象に陥りやすくなる。
確証バイアス

人間は自分の考えが正しいか否かを検証する際に、自分の考えを証明する証拠ばかりを探してしまい、反証情報に注目しない傾向が強い。

これを確証バイアスと呼ぶ。

ある情報が入ってきた場合、その情報と合致する事例が見つかることによって、その情報は正しいと証明されたような気持ちになりやすい。

しかし、これは証明を指示する情報が見つかったと言うだけで、反証を指示する情報の方が多い可能性は十分にあり得るのである。

 

確証バイアスの一般的な事例として、血液型と性格の関係がある。

人の性格はひとつに決定されるものではなく、通常は様々な特徴を含んでいるものである。

しかし、相手の血液型がA型だとわかると、A型の性格として知られている几帳面などの特徴ばかりが目についてしまい、「A型は几帳面である」という情報が正しいものであると認識してしまうのである。

 

確証バイアスは当然、科学者にも働く。

科学者は確証バイアスを回避するために反証情報に注目するという手段をとっている。

この方法は普段の生活の中でも有効で、ある情報が正しいかどうかを確認する場合には、反証情報を先に調べればよいのである。

証明する情報を調べるのはその後でも遅くはない。

科学事典より引用

 

「ある情報が正しいかどうかを確認する場合には、反証情報を先に調べればよいのである」

いい言葉だ。

自分が信じたい情報や自分の考えを信じる前に、他人の反対意見を聞くことが大切なのだ。

 

私はグーグル検索を頻繁に使うし、情報のパーソナル化を便利だと思っている。

だが、負の要素もあることを忘れてはならない・・・。

 

結論

情報のパーソナル化は、大衆のメディアリテラシー能力を下げる!

小室真司

About The Writer

小室 真司
年 代 : 1970年代前半 生まれ
性別 : 男性
専 門 : メディア事業運営
趣 味 : 人文社会科学系の読書
好きな言葉 : メディアはメッセージである

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